公演の模様を掲載いたしました
つくもがみギャラリー
出演者の1人、渡辺亮さんが描いたつくもがみを紹介します。
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ここに紹介する付喪神(つくもがみ)は、江戸時代に鳥山石燕(とりやませきえん)によって描かれた画集『画図百鬼夜行』(がずひゃっきやぎょう)のシリーズとして発表された「百器徒然袋」(ひゃっきつれづれぶくろ)に登場する妖怪たちです。この「百器徒然袋」には、室町時代の巻物に描かれた『百鬼夜行絵巻』の中からのものと、鳥山石燕によって創作されたものが混在しています。(渡辺亮)
瀬戸大将(せとたいしょう)
食器のかけらを鎧(よろい)にしている妖怪。『三国志』に登場する曹操(そうそう)と関羽(かんう)の逸話をモデルにしているという説もある。
三味長老(しゃみちょうろう)
かつて名人に使われていた三味線が、弦が切れたまま使われなくなり、そのまま長い時がたって妖怪となった。
雲外鏡(うんがいきょう)
昔、殷(いん)の王を堕落させた王妃の、悪女の正体を見破ったとされる鏡「照魔鏡」の話から、鳥山石燕が創作したと言われる。
蓑草鞋(みのわらじ)
室町時代に描かれた『付喪神絵巻』にも登場することから、当時使われていた蓑(みの)と草鞋(わらじ)のつくもがみであることがわかる。江戸時代になって新たに鍬(すき)を持たせたのは鳥山石燕の創作だと思われる。
不落々々(ぶらぶら)
狐火(きつねび)ともとれるが、その姿はいわゆる「ちょうちんお化け」の格好をしており、江戸時代には子ども向け玩具などとしても親しまれたキャラクター。
骨傘(ほねからかさ)
室町時代の『百鬼夜行絵巻』などにもその姿が見られるが、「ちょうちんお化け」同様、江戸時代に作られた草双紙(くさぞうし)などで、その姿恰好が確立されていった。明治時代以降、「傘化け」「からかさ小僧」などキャラクターとしての別名も多い。
貝児(かいちご)
貝は江戸時代、貝殻の模様合わせやおはじきの遊びに使われていた。また、子どもの格好をした布製の小さな人形を這子(ほうこ)と言って、厄除けやお守りのように使われていたようだ。おそらく、そうした貝殻や這子が使われなくなった時につくもがみ化したのではないかと考えられる。
角盥漱(つのはんぞう)
角盥(つのだらい)とは手や口を洗ったりする時に使う洗面具であるが、当時の物は取っ手の役割を果たすために2本の柄が付いており、それを鬼の角のように見立てたのではないかと思われる。
長冠(おさこうぶり)
漢の時代後期のことが書かれた『後漢書』にある逸話に関係している。単に古くなった冠のことでもあるが、同時に冠は、位の高い人の象徴でもあるので、保身のために冠を手放さない様子も揶揄されているのかもしれない。
箒神(ははきがみ)
秋から冬にかけての季節に、温かい酒を飲みながら落ち葉を掃き集めている様子を表しているが、箒神自身が古くなった箒を使っているところがなんともユーモラス。
鈴彦姫(すずひこひめ)
隠れてしまったアマテラスオオミカミを外へ呼び出そうと天の岩戸の前で踊ったアマノウズメからの連想はあるかもしれないが、頭に鈴が4つ付いていることから鈴のつくもがみとも考えられる。